石油の時代は,今後100〜200年は続くと見られている。石油ほど安価で使いやすい化学原料はない。石油化学製品の出発原料となる低級オレフィン(エチレン,プロピレンなど)やBTXを製造することができる。
自動車用燃料油としてのガソリン,軽油は重要である。また,あらゆる機械・装置類の潤滑油とグリースが製造され賞用されている。石油の王者としての地位は不動である。石油から製造される石油製品は非常に多岐にわたっており,産業・工業の発展とともに要求される品質は高くなっており,研究開発が必須である。たとえばガソリンに清浄剤を添加することにより燃費が向上する。自動車用エンジン油にモリブデン化合物を添加することにより摩擦係数が低くなり燃費が向上する。
本書は3章から成りたっている。第1章では燃料油の製造方法,新燃料油(シェールガス,シェールオイル,オイルサンド油,オリノコタールなど)の開発動向,燃料油製造触媒の進歩,燃料油添加剤の化学構造と作用機構について述べた。第2章では潤滑油・グリース・添加剤の基礎知識について述べた。すなはち潤滑油・グリースの種類と性状,製造方法と化学的組成,試験方法とその意義,潤滑油・グリース用添加剤の化学構造と作用機構,潤滑管理方法について具体例をあげて分かり易く解説した。第3章では潤滑油および添加剤の分離分析方法について述べた。潤滑油の製造管理,市場調査,新製品の開発上,分離分析法は重要である。筆者が独自に開発したゴム膜透析―シリカゲルクロマトグラフィー―赤外線吸収スペクトル分析法は極めて有力で,日本の各研究所で行われている。本書が日本の産業・工業の発展にお役に立てばこれに過ぐる喜びはない。
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