書道とふるさと

関東支部 五味渕さん 
 


7月30日に『書道と名前(名字)の由来』を、8月20日に『17文字の小さな旅と書道』を寄稿してくださった五味渕さんが今回は筑波山近くの「ふるさと」とそのふるさとにある美術館(茨城県つくば美術館)に「書」を展示されたことについて寄稿してくださいました。
いつもありがとうございます♪(HP委員)
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(ふるさと)
茨城(いばらき)県は、関東地方の北東部に位置し、北は阿武隈高地に接し、東は太平洋に面しています。関東平野の一部であり、その一角のほぼ中央少し南よりに、標高877mの女体山と男体山の二つの頂を持つ日本百名山の一つ「筑波山」が聳え立っています。山頂から平野を一望する眺めはもとより、その山の姿は四季折々に彩りを変え、見る度に趣きがあります。特に、今頃からは「紫峰」と呼ばれる山へと変わるのです。
 紫峰「筑波山」

約50数年前、オリンピック東京大会が開催された1960年代に、この筑波山の麓の平野の一部を「筑波研究学園都市」として開発を始めました。その後、大学および研究機関を建設、移転し、従事する人々が移動して、1987年には近隣の町村が合併し「つくば市」として市制となりました(この頃が故郷を離れ20年近くで、市制を布いたことを具体的な事象として知りました)。そして今やこの街は、人口において県では水戸市に次いで二番目、25万人の都市になっているのです。


弁慶七戻り
このふるさとで過ごした日々で思い出させるのは「筑波山」へのハイキングです。小学校の全生徒が若年層は途中の峠迄、高学年はその先で今はロープウェイ発駅の在る「つつじが丘」を経て「弁慶七戻り」(大きな岩が重なり弁慶も七度戻ったとの場所)から神社のご神体を祀る女体山山頂への登山の催しがありました。

また、学年全員を挙げて、中腹の筑波神社から直ぐのケーブルカー「宮脇駅」で乗車し、「山頂駅」で下車、そこから女体山山頂への登山道の樹木に図工時間に作った巣箱を設置するハイクも行いました。
 

やがて、行楽として学友達とのハイキングも何度か楽しみました。幾つかの登山道の中でも、万葉集に詠まれ、『百人一首』の一首に選ばれた「筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがは) 恋(こひ)ぞつもりて 淵となりぬる」の歌に出てくる「男女川」を経て、前出の「つつじが丘」へのルートを登ったことを思い出します。

(書道)
ところで、前稿でご紹介をしました生涯学習講座の「書道」(書に親しむ)は、本年度は開催されませんでした。しかし、本年一月の中旬に、昨年年度末に手掛けた作品を、「つくば市」に所在する「県つくば美術館」で開催された展覧会に出品する機会を得て、約60点の同輩の作品とともに、展示することになりました。

題材は、知人に頂いた「名言・名句集」の中から、書体は隷書で漢字二文字の「博愛」を選び、半切紙(条幅紙とも呼ぶ)2分の1の横書きとしました。何とは無く、当ご時世には、この言葉の心をいささかでも持てれば、多少の気休めになると思った所以です。当二字熟語は西洋文化・日本文化に接して、原義とは解釈の意味合いが少し異なって来ているようです。また、当展覧会については、優良さを競う会では無く、作品に力を傾注した結果を展示する催しのようです。

 
 
最後に、当出展の連絡は知人数人にしただけでした。ふるさとの美術館に一週間程、展示する事で何となく満足を得た感じでした。その或る日の一日、一通り作品を鑑賞し、近くのそば店で、そばを待つ間に知っての地酒を頂き、地の旨味を堪能したのです。
(2020年11月1日)