会員からのお知らせ トップページ

(公益社団法人)
石油学会発行
ペトロテック
2026年1月号掲載


実録
私の宝物自慢

 石油分析化学研究所
     代表 研究所長
 工学博士(大阪大学)
 技術士(化学部門)

藤田(稔)
 
  愛媛県新居浜市垣生小学校6年生(12歳、昭和17年、1942)の時の私の担任のT先生は書道師範で、書道を愛する生徒4~5人のグループを週2回、放課後、ボランティアで指導してくださった。
 当時、東京書道教育会発行の「筆心」があり、この会に入会して毎月課題作品を送ると、9級から始まり毎月1級ずつあがってゆくのが楽しみだった。
 小学校卒業時、私は初段となっていた。
 あるとき、T先生の歴史の講義があった。有名なクラーク博士のお話である。クラーク博士は日本の招聘で明治9年(1876)札幌農学校(現在の北海道大学) の教頭、教授として米国より来日し、動物学、植物学、化学、キリスト教精神を教授した。わずか8ヶ月の滞在後、明治10年(1877)4月16日、学生たち との別れに際して述べたのが「少年よ大志を抱け」であった。人生、大きな目標をたてて努力することが大切であるとの意がくみ取れる。
 小学校6年生の最後の書道の時間は自由課題であった。私はクラーク博士の名言をどうしても書きたかった。はじめ楷書で書いたが重厚だがなにか重苦しい感じがして、 私流にやわらかく、見る人に夢と希望を与えるように意図して書いた。T先生より優の評価を受け感激した。これは私の一生の宝物である。80年間丁寧に保存してくれていた父母に感謝したい。
 クラーク博士の名言を心に焼き付け、私は目標を石油の研究・開発にしぼり生涯を捧げた。
(2026年2月15日)