小島(昭)さん

「石油と鉄道と花」の街:新潟市秋葉区(旧新津市)
 私のふるさとは平成の大合併により新潟市に編入した旧新津市で現在の新潟市秋葉区です。新潟市中心部から東南15Km程内陸に位置し、信濃川と阿賀野川の二大河川に囲まれた肥沃な越後平野の一角を占めます。ふるさとのキャッチフレーズは「石油と鉄道と花」の街でしょうか。
 石油人であった諸兄は、日本書紀の天智7年(668年)に「越ノ国、燃ユル土、燃ユル水ヲ献ズ」の歴史を良くご存知の事と思います。新潟県は古代より原油が産出した地として知られていますが、今日でも故事にならい献上地の一つとされる県北の胎内市で原油が染み出す池から採取し、天智天皇をお祀りする滋賀県の近江神宮に原油を献上する「燃水祭」が行われていますが、旧新津市は旧昭和石油とも関わりがあった「新津油田」が存在した町です。



 
往時の新津油田

C3号井と泥溜

石油の世界館

旧中野家の庭園のもみじ

 新潟県は明治に入り、新津油田、東山油田 (長岡市)、 西山油田(柏崎市~出雲崎町)の三大油田を有し、旧昭和石油、旧日本石油、旧大協石油の発祥の地でもありますが、中でも新津油田は石油王と言われた中野貫一翁が開発し、明治末から大正期にかけて日本一の産油量を誇った油田で明治7年から平成8年の長きにわたり操業されました。現在、当時の採掘の施設が産業遺産として整備・保存されていることから平成30年に国指定史跡に認定され、周辺は「石油の里公園」として親しまれています。
 また、全国的に数少ない石油資料館「石油の世界館」が旧中野家の中野邸記念館に併設されており、旧中野家の2000本のもみじ庭園と共に一見の価値ありです。
 更に旧新津市は鉄道が分岐する交通の要衝(信越本線、羽越本線、磐越西線)で鉄道の街として栄えたことで関連施設が多く、JRの新津車両製作所(現在はJRの子会社:総合車両製作所新津事業所)は首都圏で走行している車両を多く製造しています。施設の見どころとして鉄道ファンの聖地となっているのが「新津鉄道資料館」です。鉄道文化を物語る様々な資料を保存公開し、昔懐かしい車両やレアな資料に出会える為お勧めです。
 加えて、地元の小学校で保存されていた蒸気機関車を復活させ、新津~会津若松間には貴婦人の愛称で親しまれた「C57-180」が『SLばんえつ物語号』として、阿賀野川の流れと野山の四季の移り変わりの中を土日曜日限定ですが運行しています。

SLばんえつ物語号


新津鉄道資料館(新幹線200系とSL)
 また、新津の花卉栽培は江戸時代、信濃川の氾濫でコメ作りだけで生計を維持することが出来ず始まったという歴史があります。現在、国内屈指の生産量を誇り、鉢花ではアザレア、ボケ、西洋シャクナゲ、さつき、切り花ではユリ、チューリップがトップクラスとのことで、大型フラワーショップもあり花好きな人で賑わっています
 このように見どころも多く我が国の経済産業に大きく寄与した誇れるふるさとですが、皆様にはコロナ禍を克服して是非足をお運び頂き、新潟の旨い酒、美味しい米、日本海の幸も味わって頂ければ心豊かな時が得られること請け合いです。

フラワーショップ道の駅「花夢里」


 鉄道メモ(HP委員)
 総合車両製作所新津事業所の前身は昭和16年に鉄道省新津工場として開業し、国鉄時代は鉄道車両の修繕・保守を行っていました。JR発足時に電車製造工場としてスタートし、主に首都圏のJR東日本の電車を製作しています。最近は新潟近郊電車E129、山手線電車や総武快速・横須賀線E235、内房外房線E131、しなの鉄道SR1、東急田園都市線2020があります。
   写真:東海道線E233製造風景@工場公開日→
 毎週末に運行している「SLばんえつ物語号」は新津駅始発・終点ですので、ここで機関車の入れ替え作業が見ることができます。昔、新津機関区がありましたので、今でも機関車の向きを変える「転車台」があります。製油所勤めの人には蒸気機関車のボイラは硫黄回収装置の煙管ボイラに見えてしまいます。
 
 写真:新津駅構内でのC57-180入れ替え作業→