難波(乗)さん  

  日本における「昭和シェル石油」の終局の際に、偶然にも海外のオークションで「ライジングサン石油」の封筒(エンタイア)を見つけ、いささか高価であったが落札し入手出来た。

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 添付写真の封筒表面上部左側にある印章から判るように、当時山下町にあった「ライジングサン石油」横浜本社から、西暦1935年(昭和10年)3月29日にアメリカ宛に差し出された業務郵便で使用された封筒である。裏面の消印からアメリカの西海岸のシアトル到着は4月10日?、内陸鉄道でアメリカ東部に運ばれた郵便のニューヨーク到着は4月14日となっている。到着印から推測するに、太平洋を約10日間で渡ったことからして、多分「航空便」だと思われるが、この疑問は今後の郵趣的研究課題である。
 興味深いのは、封筒裏面の右上にある「EN 3 10,000 20-7-34」の記号文字である。新規の帳票設計や文具を作成したことがある人は直ぐに分かると思うが、この記号文字の意味は、3型封筒で1934年7月20日に1万部を制作&印刷発注したということが推測される。当時の「ライジングサン石油」時代から今まで踏襲されてきたこの社内ルールが、この封筒からも判ったことに、新入社員時代に先輩社員から教えてもらったことを思い出し、一瞬笑ってしまった。感慨深い封筒である。(2021.02.05)

〈HP委員注〉
  実逓便(じっていびん): 実際に配達された郵便物。実逓と略称する。

     
(出展)http://tushu.or.jp/tanoshimi/orientation/pdf/pdf015.pdf